ミニチュアベアリングとは?種類・用途・材質別の選び方を設計者向けに解説

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BNLジャパン株式会社

BNLは1970年の創業以来、樹脂ベアリング専門メーカーとして、世界中の産業界にソリューションを提供してまいりました。独自の射出成形技術と長年蓄積されたノウハウを活かし、軽量化やコストダウンといったお客様の課題解決に貢献することが私たちの使命です。

【この記事のポイント】

ミニチュアベアリングとは、外径9mm未満のベアリングを指します。なお、外径9mm以上でも内径10mm未満のものを含めて「ミニチュア・小径ベアリング」と呼びます。そして、情報機器、医療機器、精密計測器などの小型化を支える重要部品です。材質は金属(軸受鋼・ステンレス)が主流です。ただし、耐食性や軽量化が必要な用途では樹脂やセラミック製も選択肢になります。

 

1.ミニチュアベアリングの定義とサイズ基準

まず、ミニチュアベアリングの定義は、国際規格に基づいて明確に決められています。したがって、サイズの基準を正しく理解しておくことが、適切な選定の第一歩です。

1-1.「ミニチュア」と「小径」の違い

そもそも、ミニチュアベアリングと小径ベアリングは、厳密には異なる区分です。

 

ミニチュアベアリング: 呼び外径(D)が9mm未満の玉軸受です。なお、最小内径は0.6mmのものも存在します。

 

小径ベアリング: 一方、呼び外径が9mm以上で、かつ呼び内径(d)が10mm未満の玉軸受です。

 

そして、両者を合わせて「ミニチュア・小径ボールベアリング」と総称します。なお、寸法規格はISO規格およびANSI/ABMA規格に準拠しています。具体的には、メートル系とインチ系の2種類があります。

1-2.代表的なシリーズと寸法範囲

そこで、ミニチュアベアリングの代表的なシリーズを整理します。

 

シリーズ外径範囲特徴
60系列(600, 601…)3mm〜10mm最も薄型。省スペース設計向け
68系列(680, 681…)4mm〜13mm薄型。68系列の中でも幅が狭い
69系列(690, 691…)5mm〜17mm68系列より幅が広く荷重容量が大きい
Rシリーズ(インチ系)各種北米規格。主に輸出機器向け

 

つまり、シリーズの選定は、取り付けスペースと必要な荷重容量で決まります。したがって、外径と幅の両方を確認してください。

 

※ベアリングの型番の読み方については、「ベアリング規格を徹底解説|精度等級から呼び番号の見方まで」で解説しています。

2.ミニチュアベアリングの主な用途

そして、ミニチュアベアリングは、小型化・軽量化が求められる幅広い分野で使用されています。というのも、負荷が比較的小さいため、耐荷重よりも回転精度や低トルク性が重視される傾向があるからです。

2-1.情報機器・家電

例えば、パソコンのハードディスク、プリンタの紙送りローラ、掃除機のモータなどに使用されます。つまり、高速回転と低騒音が同時に求められる用途です。

2-2.医療機器

また、超音波診断装置、輸液ポンプ、手術器具などの回転部品に使われます。とりわけ、滅菌処理への耐性や耐食性が求められるため、ステンレス製やセラミック製が選ばれることが多いです。

2-3.精密計測器・産業機器

さらに、エンコーダ、ポテンショメータ、ポリゴンスキャナモータなどに使用されます。そして、回転精度が機器の測定精度に直結するため、高精度等級(ABEC 5以上)の製品が選定されます。

2-4.ロボット・自動車

加えて、小型アクチュエータや制御モータの軸受として採用されています。具体的には、自動車分野では電動パワーステアリングなどの制御系部品に使われます。

2-5.特殊環境(水中・薬品・食品)

また、水処理設備のセンサ部や食品製造ラインの搬送部品でも使用されます。つまり、腐食や異物混入のリスクがある環境が対象です。したがって、このような環境では、金属製ではなくステンレス鋼製や樹脂製が選ばれます。

 

特に食品・医療分野では、潤滑剤を使わずに回転できる樹脂製ベアリングが有効です。なぜなら、グリースの飛散による異物混入リスクを排除できるからです。

 

※過酷環境でのベアリング選定事例は、「金属ベアリングの早期破損を防ぐ!過酷環境における樹脂軸受の耐久性能と選定事例」もご参照ください。

※ベアリングの基本的な種類と分類については、「ベアリングの種類と選び方」をご覧ください。

3.ミニチュアベアリングの構造と形式

そして、ミニチュアベアリングは、基本的に標準サイズの深溝玉軸受と同じ構造です。具体的には、外輪、内輪、転動体(ボール)、保持器の4つの部品で構成されています。

3-1.開放形・シールド形・シール形の違い

まず、ミニチュアベアリングには、側面の防塵構造により3つの形式があります。

 

開放形(オープン): 側面に何もなく内部が露出しています。そのため、外部から潤滑が供給される環境で使用します。なお、摩擦が最も小さい形式です。

 

シールド形(ZZ): 一方、鋼板製の非接触シールドで内部を保護します。したがって、粉塵の侵入を防ぎつつ、低トルクを維持できます。つまり、最も広く使われている形式です。

 

シール形(LLU / DD): さらに、ゴム製の接触シールで密封性を高めた形式です。したがって、防塵・防水性能は最も高いです。ただし、接触による摩擦がやや大きくなります。

3-2.フランジ付きタイプ

また、外輪の片側にフランジ(つば)を設けた形式もあります。この形式では、ハウジングへの取り付け時に軸方向の位置決めが容易になるメリットがあります。したがって取り付け構造を簡略化できるため、小型機器で多く採用されています。

4.材質で選ぶミニチュアベアリング

そして、ミニチュアベアリングの材質は、使用環境に応じて選定します。具体的には、標準的な金属製から、耐食性や軽量化を重視したセラミック製・樹脂製まで選択肢があります。

4-1.金属製(軸受鋼・ステンレス鋼)

軸受鋼(SUJ2): まず、最も標準的な材質です。したがって、コストパフォーマンスに優れ、一般的な環境ではこれが第一選択肢です。

 

ステンレス鋼(SUS440C): 一方、耐食性が必要な環境向けです。そのため、医療機器や食品機械で多く採用されています。しかも、クリーンルームや真空環境でも使用できます。

4-2.セラミック製・ハイブリッド

次に、セラミック製は、非磁性・絶縁性・高速回転性能に優れています。具体的には、転動体のみをセラミック(窒化ケイ素)にしたハイブリッド型が主流です。したがって、高速スピンドルや半導体製造装置などの特殊用途で使われます。

 

ただし、コストは金属製の数倍〜数十倍になります。そのため、性能要件を精査した上で検討してください。

4-3.樹脂(プラスチック)製 — 金属にはない独自の強み

そして、樹脂製ミニチュアベアリングは、金属製では対応が難しい環境で力を発揮します。具体的には、代表的なメリットは以下のとおりです。

 

無潤滑で使用可能: グリースや潤滑油なしで回転します。したがって、潤滑剤の飛散が許されないクリーン環境に適しています。

 

耐食性に優れる: 水中や薬品にさらされる環境でも腐食しません。しかも、ステンレス鋼でも対応が難しい強酸・強アルカリ環境に使えます。

 

軽量: 金属比で大幅に軽いため、機器全体の軽量化に貢献します。さらに、部品点数の削減にもつながります。

 

非磁性・絶縁性: 磁場や電気的影響を受けません。したがって、MRI装置周辺など特殊な環境に対応できます。

 

一方で、金属やセラミックに比べて耐荷重性は低くなります。しかし、ミニチュアベアリングは元来負荷が小さい用途が多いため、樹脂でも十分な耐荷重を確保できるケースが多くあります。

 

また、樹脂製はカスタム対応がしやすい点も強みです。具体的には、標準にない寸法や特殊な素材の組み合わせにも柔軟に対応できます。事実、既製品からの置き換えでコスト削減を実現した事例もあります。

 

※樹脂ベアリングの導入コストについては、「樹脂ベアリングでコスト削減は可能か?メリット・デメリット徹底解説」で詳しく紹介しています。

※素材別の特性比較については、「ベアリングの材質を徹底比較|鋼・ステンレス・セラミック・樹脂の特徴と選び方」で詳しく解説しています。

5.ミニチュアベアリングの選定で確認すべきポイント

そして、ミニチュアベアリングの選定では、標準サイズのベアリングとは異なる注意点があります。したがって、小型ゆえの制約を理解しておくことが大切です。

5-1.回転精度を優先する

まず、ミニチュアベアリングの用途は、高荷重よりも高精度が求められるケースが大半です。そのため、精度等級はABEC 1(JIS 0級)で十分な場合もあります。一方、計測器や医療機器ではABEC 5(JIS 5級)以上が必要になることがあります。

5-2.内部すきまの管理

次に、小型であるほど、内部すきまの設定が性能に大きく影響します。なぜなら、温度変化やはめあいによるすきまの変化が、相対的に大きくなるためです。したがって、使用温度範囲を正確に把握し、適切なすきまを選定してください。

5-3.潤滑の考え方

また、ミニチュアベアリングの潤滑は、グリース封入が主流です。そのため、一度封入すれば、メンテナンスフリーで使用できる製品が多くあります。

 

ただし、特殊環境(高温・真空・クリーン)では、フッ素系グリースや固体潤滑、あるいは無潤滑の樹脂ベアリングが検討されます。

5-4.使用環境に合った材質を選ぶ

そこで、材質選定の判断基準を整理します。

 

使用環境推奨材質理由
一般環境SUJ2(軸受鋼)コスト・性能バランスが最良
水・湿気ステンレス鋼 or 樹脂耐食性が必要
薬品・強酸樹脂金属では腐食が避けられない
医療・食品ステンレス鋼 or 樹脂耐食性+異物混入防止
高速スピンドルハイブリッドセラミック軽量転動体で遠心力低減
軽量化樹脂金属比で大幅に軽量

 

なお、材質に迷った場合は、使用温度・接触薬品・荷重の3条件を整理してメーカーに相談してください。

 

※樹脂ベアリングの基本特性については、「樹脂ベアリングとは?金属軸受との決定的な違いと選定の5原則」もご参照ください。

6.まとめ — ミニチュアベアリング選定の要点

それでは、ミニチュアベアリングの選定で押さえるべきポイントを整理します。

 

定義: 外径9mm未満がミニチュア、外径9mm以上で内径10mm未満が小径ベアリングです。そして、メートル系の60・68・69シリーズが代表的です。

 

用途の特徴: 耐荷重よりも回転精度・低トルク・低騒音が重視されます。具体的には、情報機器、医療機器、精密計測器などが主な用途です。

 

材質選定が重要: 一般環境にはSUJ2、耐食性にはステンレス鋼、水中・薬品・軽量化には樹脂が適しています。しかも、ミニチュアサイズは負荷が小さいため、樹脂でも十分対応できるケースが多くあります。

 

選定のコツ: 要するに、精度等級・内部すきま・潤滑方法・材質の4つを使用条件に合わせて選びましょう。なお、特殊環境で迷った場合はメーカーの技術担当に相談することをおすすめします。

 

※規格品・カスタム品を含めたBNLの樹脂ベアリング製品一覧、独自の製品特徴、よくあるご質問も併せてご覧ください。

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